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Koharoom

観た映画、読んだ本、聴いた音楽、旅した、食べた、買った、そして、思った記録です

 「花」

 いつもと同じ林の中の道を歩いていると  

 ふと一輪の花が私に話しかけてきた 


 その花はずっと昔から

 そこに咲いていて

 通るたびに軽く首をかしげ

 無邪気に笑いかけているようで

 私もそれに

 軽く会釈して通り過ぎていた


 その日は、花がいつもと違って艶かしく

 私の方へ首を傾けた

 その花を手折ってしまえば

 私はその花を永遠に自分のものにできる

 しかし、手折られた花は

 いくら水を注いでも

 私の手中では生きられないこともわかっていた


 花は花として野にあり

 時に虫たちの羽を休ませ

 時に人の荒ぶる心を慰める

 
 次の日、また同じ道を歩いた

 花は相変わらず朗らかに笑いかけてきた

 私もいつもと同じように会釈した


 こうして、私と花の日常が過ぎていく

 平穏で、ささやかに幸福な、日々の積み重ね

 「花を手折ることなかれ」

 林の中の静かなる道に

 私はこう標しておこう