桜子が動けなくなっているのに気付いたのが2月の終わりだった。
それから1週間の入院を経て、家に連れて帰り、帰ったその日の夜9時になくなった。3月5日のことだった。もう少しで15歳になるところだった。
今は小さな骨壷におさまって、父の遺影の傍に鎮座している。
あまりにも気持ちが落ち込んで、日記に書く気力も起こらなかったが、さるさる以来の日記仲間にはおなじみの我が家の家族だったし、お知らせもしておきたいと思う。
亡くなる前に、苦しそうに息をして、一度大きく伸びをして、それから静かに息を引き取った。
「やっと楽になったね」と声をかけ、体をきれいに拭いてやった。
その間は、全然涙がでなかったのに、むすこっちたちに電話で報告していると、昔の思い出がいっぱいうかんできて、涙が止まらなくなった。
兄くんも、弟くんも、次の朝、一番の電車で帰ってきた。
皆で火葬場に連れて行って、見送った。
弟くんは、桜子の写真を、ロケットペンダントに入れて、あれ以来、ずっと首にかけている。
私は、まだ寒い丹波の地で、骨をお墓に埋めるのは可哀想な気がして、私のいつもいる場所の近くに置いている。
時々話しかけたりしているけど、小さくなった桜子は、なんと返事しているのかわからない。
あれから3週間が経って、私たちは桜子がいない生活に少し慣れてきた。
弟くんは京都のマンションを引き払って、丹波で暮らしているので、私の寂しさも、少し紛れている。
そんな中、弟くんが昨日、東京に旅立った。
東京が今、どんな様子だかよくわからないのだが、弟くんの門出は心から喜んでやりたい。
3月28日から東京都民になります。
住まいは江戸川橋駅から徒歩5分。
東京近辺のみなさま、どうぞ、よろしくお願いします。