小春の庭仕事

観た映画、読んだ本、聴いた音楽、旅した、食べた、買った、そして、思った記録です。最近は庭仕事がメインです。

文明がひとつ滅びる物語

2007年に書いた文章です。ここ20数年のブログを整理していて見つけました。
俵さんの本(下記)に紹介された短歌の中から、心に残ったものを選んで、少し書いてみました。


あなたと読む恋の歌百首 (文春文庫)

あなたと読む恋の歌百首 (文春文庫)

  • 作者:俵 万智
  • 発売日: 2005/12/06
  • メディア: 文庫




「文明がひとつ滅びる物語しつつ おまえの翅脱がせゆく」 谷岡亜紀

      
オフに現代短歌を読むのが好きです。

      
この歌は、作者の谷岡亜紀が同年代でもあり、共感できる歌なので、載せました。      
谷岡亜紀は歌集「臨界」で、飽和状態の都市に棲むアウトサイダー(テロリスト、殺人犯、娼婦など)の心の渇きを表現した異色の歌人です。

      
いくつかの短歌をみてみましたが、無頼の精神に溢れ、スリリングです。
      
そんな中で、こんな恋の歌がありました。
      
これは作者の願望に他ならないのでしょうね。
      
こんな風に自分の翅を脱がせて欲しいという。
      
男性の側にすれば、こんな余裕はないよ~、というところでしょうけど。笑
      
しかし、この歌には甘い懐かしい香りがします。
      
夜寝るときに、母が語ってくれた昔物語。
      
新しい話を聴くときにはどきどきし、
      
何度も聴いたことのある話でも、「次は?次は?」と聴いていた。
      
そのうちに深い眠りに入っていくのですが。  

    
situationは違いますが(笑)、甘美な時間という意味では似通った感覚があります。
      
小川未明作の「赤い蝋燭と人魚」という本があります。
      
「北の海に住む女の人魚が人間世界に憧れて、自分の子供だけは人間世界で幸福に育ってほしいと子供を浜の神社の下に産み落とした。ろうそく屋の老婦人がそ の娘を拾って育てるが、金に目がくらんで香具師(やし)に売り渡すと、嵐が起こって娘を乗せた船は沈み、浜辺の神社は鬼門と呼ばれるようになりふもとの町 も滅びてしまう。」というのがあらすじです。

      
人間世界のエゴイズムをえぐった作品です。
      
この物語を女性に読ませつつ翅を脱がせた人がいると聞きました。笑。
      
なにかが滅びる話は、こういうsituatinには合うのでしょうか?
      
今日は、こんな非日常の世界にいました。
      
ちょっと芸風が違いますか?笑