暑いので、どこへも行かないでおこう、という母が言う。
姉とのぞみ(姪っ子)は東京へコンクールのためのレッスンに行き、わたしと母は、久々に二人っきりで過ごした。
母の部屋には、低い音でモーツァルトが流れている。
父が晩年をすごした部屋でもあるのだが、父の気配はだんだん薄れてきていて、母のお気に入りのものが雑然と混在していた。
雑然としているのに片付いて、機能的に配置されているという、なんとも不思議な部屋なのだ。
「絵を少し描きだめたのよ。ちょっと観てみる?」と出してきた。
以前観たときよりは、ぐんと腕を上げていた。
「いいじゃないの、カメラにとってあげよう。」とデジカメを出してきて次々撮った。
淡い色合いの水彩画は、わたしの好みである。
午前中をそんな風にゆったり過ごし、午後から小倉へでかけた。
井筒屋でお蕎麦を食べ、母は黒の縮緬のズボンを買った。
門司駅でバスをおり、めがね屋へ。
フレームで迷っていると「これがいい」と選んで持ってきた。
かなりお洒落なフレームで、わたしも気に入った。笑。
夜、母はネックレスをいくつか出してきて、「これは、小春が小学校のときに、私にプレゼントしてくれたやつよ。」と笑って、黒いガラス製のを取り出した。
「なんだ、まだ持ってたんだ。物持ちがいいね。でも、なんで小学生なのにこんなのをプレゼントできたんやろうね?」と笑った。
未だにわからなんだけど。。
母は、「ネックレス、ひとつあげよう。明日帰るときに着る服にあうやつ。」という。
私は、黒とシルバーの鎖みたいなやつをもらった。
母と二人並んで寝て、ぼつりぼつりと話をしてるうちに眠りに入ったようだ。
そんな静かな夜だった。
● 恥ずかしながら、、母の絵 ●スライドショーでどうぞ。
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