もう6年も乗った愛車、シビックとお別れの日が来た。
明日にはもうご近所のお兄さんに渡す。
都会にいるときは自分が車に乗るなんてことは思いもよらなかったのに、里に来て、車がないとどうしようもない生活になって、本当にシビックはあたしの足というより体の一部のような気さえしていた。
どこへいくのもこの車。
家族をのせて一体何キロ走っただろう。
喘息の発作の起きた弟くんを乗せて、明け方病院へ。
不整脈のおきたじじを乗せて夜中救急病院へ。
むすこっちたちとの楽しい買い物、お食事への足。
父が病を得たと知った時に人知れず泣いた場所。
好きな音楽をすきなだけ大きな音で聞いた場所。
そういえば、ネットのお友達にも乗ってもらったなぁ。
ぽちねぇ、あ。ちゃん、あやちゃん。
あたしの里での暮らしすべてがこのシビックの中に凝縮されている。
玄関のドアをあけると、そこにはいつもシビックがあって、「今日はどこへおでまし?」と待ち構えているようだった。
今日、ハンドルを握りながら、なんだかとても申し訳ない気持ちがしてきた。
あたしは、彼(シビック)になんの断りもなしに手放してしまうのだ。
きっとむすこっちたちは、自分たちがいない間にいなくなったシビックのことをとっても残念がるだろうなぁ。
せめて、明日は自分で綺麗に洗車してワックスかけて、長年の労をねぎらおう。
ありがとう、あたしの愛する黒いシビック。